『アイアンマン3 (2013)』ネタバレあり イースターエッグ/解説『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)』前のおさらいに
2019年4月26日に全米公開を控えた『アベンジャーズ/エンドゲーム』に備えて。今までに公開されてきたMCU作品のイースターエッグを、20週に亘り一気におさらいしている当ブログ。
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当記事は『アイアンマン3(2013)』及び、MCU作品のネタバレを含んでいます。
MCU作品を全て鑑賞済みのうえ、読むことをお勧めします。
第7回の今回紹介するのはMCUフェイズ2の1作目でありアイアンマントリロジー最終作となるこの作品
『アイアンマン3(2013)』
NY決戦から7か月
本作は『アベンジャーズ(2012)』のNY決戦から7か月後が舞台である。
ハッピー
『アイアンマン(2008)』『アイアンマン2 (2010)』で監督、製作総指揮を担当していたジョン・ファヴローは本作ではメガホンは取らなかった。
ただ、前作と前々作にも登場していたキャラクター、ハッピー・ホーガンとして登場。前作まではトニーの運転手兼ボディ・ガードだったが本作ではスターク・インダストリーズの警備主任にまで地位を上げている。
回想シーン、1999年のハッピー
現代のハッピー
ちなみに、ハッピーを演じたジョン・ファブローが監督を務め、本作の翌年に公開された『シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014)』では、アイアンマン(トニー・スターク)ことロバート・ダウニーJr.とブラック・ウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)ことスカーレット・ジョハンソンが友情出演している。
ちなみにボビー・カナヴェイルは『アントマン(2015)』『アントマン&ワスプ(2018)』でスコット・ラングの妻の再婚相手であるパクストンを演じていた。
『アントマン(2015)』より
インセン
本作序盤の1999年のベルン技術会議の回想シーン。トニーに話しかけるメガネの男性。彼は『アイアンマン(2008)』でテロリストに拉致されたトニーと協力しアイアンマンMk-1を作ったホー・インセンだ。
トニーはこの時すでに彼に会っているにもかかわらず『アイアンマン』では全くの初対面のように接しており、彼の適当な性格が出ている。
本作より
『アイアンマン(2008)』より
ドクター・ウー
インセンがトニーに紹介した外科医。本作の最後、トニーの心臓付近に埋まったミサイルの破片を取り除く手術を行っているのも彼だ。
本作より
ちなみに、原作コミックにドクター・ヤオ・ウーというパーカー・インダストリーズのバイオテクノロジー部門に所属する科学者がいるが名前が同じというだけで同一のキャラかは明かされていない。
ドクター・ヤオ・ウー
また、本作のドクター・ウーが、原作コミックに登場する全身に放射線を帯び、放射線を照射する能力を持つ、レディオアクティブマンではないか、とネット上で噂されていたが実際は劇中にそのような展開は無かった。ちなみにレディオアクティブマンの本名はチェン・ルーでありウーではない。
レディオアクティブマン
また、中国で上映されたバージョンのみ、彼の娘で助手のキャラクターがノンクレジットで登場する。
演じているのはファン・ビンビン。彼女は『X-MEN:フューチャー&パスト(2014)』でポータルを出現させる能力を持ったミュータント、ブリンクを演じていた。
本作のカットシーンよりドクター・ウーの娘
『X-MEN:フューチャー&パスト(2014)』のブリンク
マンダリン
『アイアンマン(2008)』でトニーを拉致したテロ集団の組織名"テン・リングス"はマンダリンの10個の魔法の指輪が由来。
しかし、本作ではマンダリンはただの役者であり"テン・リングス"の組織名を勝手に使っていただけということが後に判明する。
"テン・リングス"の組織名の初出は『アイアンマン(2008)』であり5年越しの大掛かりなのスカし演出となった。
本作のマンダリン
組織名の由来になった10個の魔法の指輪
原作のマンダリン
"テンリングス"のフラッグ
ローブに"テン・リングス"のロゴ
『アイアンマン(2008)』より
ちなみに、マンダリンのうなじにはキャプテン・アメリカのシールドのタトゥーが入っている。テロリストがヒーローであるキャプテン・アメリカのタトゥーを入れるのはおかしいため、彼がテロリストではないことが後に明かされる事への伏線だったのだろうか。
うなじにキャプテン・アメリカのシールドのタトゥー
ちなみに、マンダリンは『マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2014)』のDVD/Blu-rayの特典映像、マーベル・ワンショット『王は俺だ』の主人公として再登場。
『王は俺だ』より
また、このマーベルワンショットにはNetflixで配信中のドラマ『デアデビル』で、デアデビルのスーツを作ったメルヴィン・ポッターを演じたマット・ジェラルドがノンクレジットで登場。もしこのキャラクターがメルヴィンだったとするとマンダリンと顔見だった、ということになる。
『王は俺だ』より
Netflixオリジナルドラマ『デアデビル』より、メルヴィン・ポッター
メルヴィン・ポッターは原作では両腕に回転ノコギリを装備したグラディエーターというヴィランなのだがその話はまた今度することにしよう。
原作のグラディエーター
ロクソン社
マンダリンが拉致し処刑(の演技)を中継したのはロクソン・オイル社の会計士であるトーマス・リチャーズ。
ロクソン・オイル社とは原作にも登場する架空の石油会社。本作でも最終決戦の行われたタンカーがロクソン・オイル社のものだ。
本作より
原作のロクソン・オイル社
ロクソン・オイル社は『アイアンマン(2008)』『アイアンマン2 (2010)』『エージェント・カーター』『デアデビル』などにこっそり登場しており、今話題のPS4『Marvel's Spider-Man』にもロクソンのビルが登場している。
『アイアンマン(2008)』より
『アイアンマン2』より
『エージェント・カーター』より
『Marvel's Spider-Man』より
9月7日からHuluで配信開始された『クローク&ダガー』のトレイラーでも、ロクソン社のロゴが確認できる。原作のある世界線ではロクソン社に改造されてクロークとダガーは能力を得た。このことから、これまでロゴが映ったり名前が出てくる程度だったロクソン社だが『クローク&ダガー』でその全貌が明らかになるのだろうか。
『クローク&ダガー』より
『クローク&ダガー』トレイラー
アイアン・パトリオット
前作、前々作と登場していたジェームズ・"ローディ"・ローズ。本作ではウォーマシンアーマーに下記の組織A.I.M.によって新たな改良を加えられ、カラーリングも星条旗カラーにペイントし直されたアイアン・パトリオット(鋼鉄の愛国者)として登場。
本作より
ちなみに、原作コミックではアイアン・パトリオットのパワードスーツの中身は、スパイダーマンのヴィランとして知られる、グリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンである。
原作コミックのアイアン・パトリオット(ノーマン・オズボーン)
またノーマンの息子であり、二代目グリーン・ゴブリンであるハリー・オズボーンも似たような星条旗カラーのパワードスーツを着てアメリカン・サン(アメリカの倅)と名乗っていた時期がある。
親子揃って何をしているのか…。
アメリカン・サン(ハリー・オズボーン)
レスキュー
トニー邸をミサイルで爆破された際、ペッパー・ポッツがマーク42アーマーを強制装着させられるシーンがある。
これは原作コミックに登場するペッパー専用のパワードスーツ"レスキュー"を意識した演出と取ることができる。
原作のレスキュー・アーマー
マシュー・エリス大統領
MCUにおけるアメリカ合衆国大統領。アイアン・パトリオットスーツに押し込められ拉致。タンカー、ロクソン・ノルコ号で処刑を宣告される。本作以降も『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2015)』でヘリキャリア標的にされる他、ドラマ『エージェント・オブ・シールド』第3シリーズにニュース映像などで登場。
本作より
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)』
『エージェント・オブ・シールド』より
A.I.M.
キリアン・マーフィが代表を務める科学者組織。組織名のA.I.M.とはアドバンスド・アイディア・メカニクス(Advanced Idea Mechanics)の略称である。
原作ではハイドラ同様、世界侵略を目論む悪の組織である。
本作のA.I.M.の科学者たち
原作のA.I.M.隊員
エクストリミス
マヤ・ハンセンにより発案され、上記の組織A.I.M.が完成させたナノマシン。投与された人間は肉体が強化され、発熱、自己再生能力を得られる。しかし未完成なため、暴走を起こすと肉体が自爆を起こしてしまう。
本作のエクストリミス被験者
ドラマ『エージェント・オブ・シールド』シーズン1に登場したマイク・ピーターソン(デスロック)が腕に貼り付けた通称"ムカデ"と呼ばれる装置から投与されているエネルギーの源も、このエクストリミスである。
ドラマ『エージェント・オブ・シールド』よりマイク・ピーターソン(デスロック)
"ムカデ"
原作のデスロックの本名はルーサー・マニングでありMCUとは別人。兵士をサイボーグする計画、プロジェクト・アルファメックスによってサイボーグソルジャーとなった。この見た目でもヴィランではなくヒーローである。
原作のデスロック。
エリック・サヴァン
キリアンの側近のエクストリミス被験者。エクストリミスと安定して適合しておりパワーを使いこなしている。原作では米兵の強化計画、プロジェクト・ウルトラ・テックの被験体であり全身をサイボーグ化し"コールドブラッド"のコードネームで活動している。
本作より
原作のエリック・サヴァン(コールドブラッド)
原作では、上記のデスロックと対決したこともある。MCUでは両者ともエクストリミスの被験者という設定になっている。
デスロックVSコールドブラッド(Deathlok Vol.2 #20より)
ジャック・タガート
エクストリミスに適合できず、チャイニーズシアターで爆死してしまった被験者。原作ではファイアパワーというスーツを着たヴィランである。原作ではアフリカ系だが本作ではラテン系。
本作より
原作のジャック・タガート(ファイアパワー) (Iron Man Vol.1 #230より)
エレン・ブラント
女性のエクストリミス被験者。右腕が欠損した元身体障害者。顔に傷がある。
本作のエレン・ブラント
原作のエレン・ブラント
原作コミックのエレン・ブラントは沼の怪物マン・シングがまだ人間のセオドア・サリスだった頃の妻である。焼けただれた顔はマン・シングの手によって溶かされた。本作のエレン・ブラントにも顔の傷があるが、傷がついた原因は不明である。
マンシングによって顔を焼かれるエレン・ブラント
マンシングになる前のセオドア・サリス
セオドア・サリスは元々S.H.I.E.L.D.でスーパーソルジャー計画を再現するグラディエイター計画に携わる科学者だった。彼は、車での移動中に本作にも登場した悪の科学者集団A.I.Mに襲撃される。完成したばかりの超人血清のサンプルを自らに注射し、そのまま沼に転落、醜い怪物マンシングに姿を変えた。
マンシングは次元の門の番人でもありドクター・ストレンジとも深い関わりにあるキャラクターだ。
原作のマン・シング(セオドア・サリス)
また、マン・シングの存在はドラマ『エージェント・オブ・シールド』シーズン1 エピソード20でエージェント・マリア・ヒルとペッパー・ポッツとの電話での会話で言及されているためMCUにも存在していると考えられる。
ドラマ『エージェント・オブ・シールド』より(直撮りで申し訳ないです)
『マイティ・ソー/バトルロイヤル(2017)』惑星サカールに建つグランドマスターの塔は、彼の主催するバトルロイヤルの歴代チャンピオンの顔で飾られている。一番下にあるのがマン・シングの顔である。他の顔ぶれについてはまたの機会に解説することにする。
『マイティ・ソー/バトルロイヤル(2017)』より
マン・シングのみアップ
また、超B級ではあるが『巨大怪物マンシング(2005)』としてライオンズゲートから実写映画化されている。『エージェント・オブ・シールド』でマンシングのことが言及されたり、『マイティ・ソー/バトルロイヤル(2017)』で姿が出たりしていることから映像化権はライオンズゲートからMARVELへ返還されたと考えられる。そのため、今後MCU作品に登場する可能性は極めて高い。
『巨大怪物マンシング(2005)』より
パワードスーツたち
全てについて解説しているときりがないので重要なものだけ抜粋して紹介していこうと思う。
・Mk-1〜7
『アイアンマン(2008)』で登場したMk-1,2,3『アイアンマン2 (2010)』で登場したMk-4,5,6『アベンジャーズ(2012)』で登場したMk-7は、スターク邸がミサイルで爆破された際に全て破壊され消失。
・Mk-8〜42
トニーが秘密裏に製作していた試作品のパワードスーツ達。『アイアンマン(2008)』から登場しているJ.A.R.V.I.S.が遠隔コントロールしている。
・Mk-22 ホットロッド
ウォー・マシーンMk-2の試作型である。
・Mk-33 シルバーセンチュリオン
シルバーセンチュリオンアーマーは原作にも登場するが型式番号はMk-33ではなくModel 6〜8である。
本作のシルバーセンチュリオン
原作のシルバーセンチュリオン
・Mk-38 イゴール
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015)』で初登場したハルク・バスターの試作品である。
ハルク・バスター
・Mk-42
トニーが本作で主に着用しているスーツである。
今回のスタン・リー
今回のスタン・リーはミスコンの審査員として登場
10点満点
ポストクレジットシーン
本作のエンドロール後のおまけシーンはトニー・スタークがブルース・バナー(ハルク)に本作の一連の経緯を説明するしている。ブルースはトニーの話が長すぎて居眠りをしてしまっている。
次回予告
次回解説するのは
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2013)』
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