『スパイダーマン:ホームカミング(2017)』ネタバレあり イースターエッグ/解説『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)』前のおさらいに
2019年4月26日に全米公開を控えた『アベンジャーズ/エンドゲーム』に備えて。今までに公開されてきたMCU作品のイースターエッグを、20週に亘り一気におさらいしている当ブログ。
前回の記事
当記事は『スパイダーマン:ホームカミング(2017)』及び、MCU作品のネタバレを含んでいます。
MCU作品を全て鑑賞済みのうえ、読むことをお勧めします。
今回紹介する作品は
『スパイダーマン:ホームカミング(2017)』
ヴァルチャー
本作でヴァルチャーを演じたマイケル・キートンはDC映画である『バットマン(1989)』『バットマン リターンズ(1992)』でバットマンを演じその後『バードマン(2015)』で映画の中で過去にバードマンというキャラクターを演じていた落ちぶれた俳優リーガン・トムソンを演じた。
グランドセントラル駅
本作序盤、トゥームスらが瓦礫撤去を行っていたのは『アベンジャーズ(2012)』に登場したグランドセントラル駅。このシーンはアベンジャーズとチタウリとのNY決戦直後の出来事である。
本作より
『アベンジャーズ(2012)』より
ダメージ・コントロール社
上記のシーンでトゥームスらの仕事を奪ったのはダメージ・コントロール社である。
ダメージ・コントロール社とは、マーベルユニバースでヒーローたちがヴィランとの戦いで破壊した街の復旧を受け持つ会社であり現在コメディ作品としてドラマの制作も計画されている。
実は『アイアンマン(2008)』の時点でMCUに存在することが分かっていた。(画面下のテロップに注目)
ちなみにPS4『Marvel's Spider-Man(2018)』にもダメージ・コントロール社のビルが登場する。
『アイアンマン(2008)』より
原作のダメージ・コントロール
PS4『Marvel's Spider-Man(2018)』より
『アベンジャーズ(2012)』のオマージュ
アベンジャーズのお面を被ったATM強盗を退治するシーンでスパイダーマンが『ハルク!ソー!やっと会えたね!』と言うのは『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー(2016)』に彼らが参戦していなかったからである。
スパイダーマンがソーのお面をした強盗にハルクのお面をした強盗を殴らせるシーンは『アベンジャーズ(2012)』でハルクがソーを殴ったシーンのオマージュである。
またこのシーンとそっくりなエピソードが原作の『Ultimate Spider-man #42』にあり、原作ではキャプテンアメリカ、アイアンマンの他にバットマンのようなお面をつけた強盗がいる。映画ではさすがに無かったが。
本作より
『アベンジャーズ(2012)』より
『Ultimate Spider-man #42』より
メイおばさん
本作でメイおばさんを演じたマリサ・トメイはトニー・スタークことロバート・ダウニーJr.と1980年代に交際しており『オンリー・ユー(1994)』では恋人役で共演している 。
しかしメイおねえさんはピーターと食事をしている時「トニー・スタークは嫌い」とはっきり言ってしまっているのでよっぽどのことがない限り今作では二人の恋は実らなさそうだ。
ちなみに、この時二人が食事をしているタイレストランの隣には"アスガルド"教会がある。
本作より
『オンリー・ユー(1994)』
モリタ校長
ピーターの通うミッドタウン高校の校長先生であるモリタは『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー(2011)』に登場した先鋭部隊ハウリングコマンドーの日系人の隊員ジム・モリタの孫で、演じているのはどちらもケネス・チョイだ。
また『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー(2016)』で戦犯になってしまったキャップの教材ビデオが未だにミッドタウン高校で使われ続けているのはモリタ校長の方針で、おそらく子供の頃から祖父から戦時中ヒドラの捕虜になっていたところをキャップに助けられた話を聞かされて育ったのだろう。
本作のモリタ校長
『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー(2011)』のジム・モリタ
スーツ・レディ=カレン
ピーターがスパイダースーツの"補助輪モード"を解除したことで使用可能になったアシスタントA.I.スーツ・レディ改めカレンの声を演じたのはジェニファー・コネリーである。
彼女はMCUじゃない方の『ハルク(2003)』でブルース・バナーの恋人のベティを演じていた女優である。(『ダークシティ(1998)』とかでも魅力的なヒロインを演じてたから個人的には『インクレディブル・ハルク(2008)』のリヴ・タイラーより好き。)
またジェニファー・コネリーはアイアンマンのアシスタントA.I.であるJ.A.R.V.I.S.の声を演じ『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2014)』からヴィジョンを演じているポール・ベタニーの婚約者でもある。
夫婦揃ってトニー・スタークの作ったA.I.にキャスティングされていて面白い。
本作より
『ハルク(2003)』のベティ・ロス(ジェニファー・コネリー)
ハリントン先生
ピーターの所属する学力コンテストクラブの顧問であるハリントン先生を演じたマーティンスターもまた過去にマーベル作品にちょい役で登場している。こちらはMCUの方の『インクレディブル・ハルク(2008)』でバナーがもともと勤めていた研究所の研究員役でカメオ出演している。このキャラとハリントン先生との関係は不明。どうせなら兄弟か親戚という設定にしてほしい。
本作より
『インクレディブル・ハルク(2008)』より
過去のスパイダーマン映画に対するオマージュ
ワシントン記念塔のエレベーターで、落下するリズをウェブで助けるシーンは『アメイジングスパイダーマン2 (2014)』の終盤、時計台から落下するグウェンをギリギリのところで助けられなかったトラウマシーンのオマージュである。
また、リズを助けた後、逆さになったピーターにカレンが「キスをするなら今です」と言うのは『スパイダーマン(2002)』で最も有名な逆さになった状態でのキスシーンへのオマージュである。
どちらのオマージュも元のシーンとは全く違う結果になっているのは今回のスパイダーマンは今までのスパイダーマンとは全く別物、ということを表しているのだろうか。
またワシントン記念公園といえば『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)』でキャップとサムがランニングをしていたりS.H.I.E.L.Dの中心基地トリスケリオンが建っていた場所だが、本作を観る限り、そのような建物の姿が見えなかったのでヘリキャリアが墜落して崩壊した後、再建されることはなかったのだろう。
本作より
『スパイダーマン(2002)』
本作より
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)』
MCUにマイルズ・モラレスが存在する可能性
マイルズ・モラレスとはマーベルコミックスの平行世界アルティメットユニバースで、死亡したピーター・パーカーの後を継いで新しくスパイダーマンになった黒人の少年である。
マイルズはラッパーのチャイルディッシュ・ガンビーノこと俳優のドナルド・グローヴァーがスパイダーマンのリブート作品で主人公役に立候補し、結局は採用されることはなかったがこの事を知ったライターのブライアン・マイケル・ベンディスがコミックに登場させたキャラクターで、ドナルド・グローヴァーはその後アニメ版のマイルズスパイダーマンの声を演じることになった。
そして、なんとそのドナルド・グローヴァーが今回の映画にちょい役で登場している。
ヴァルチャーの組織と武器の取引をしていたアーロン・デイヴィスという青年で、彼はピーターとの会話で近所に甥っ子が住んでいる事を話している。
アーロン・デイヴィスとは原作コミックでマイルズ。モラレスの叔父にあたるキャラクターで彼自身もプロウラーというヴィランである。
つまり彼の言った甥っ子とはマイルズのことでMCUにもう一人のスパイダーマンが登場する伏線かもしくはファンサービスだろう。
ちなみに、マイルズ・モラレスはPS4『Marvel's Spider-Man(2018)』に重要な役として登場する。
また、マイルズスパイダーマンとプロウラーはアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース(2019)』にも登場する。
本作より
原作のマイルズスパイダーマンとプロウラー
PS4『Marvel's Spider-Man(2018)』のマイルズ
『スパイダーマン:スパイダーバース(2019)』のマイルズスパイダーマン
『スパイダーマン:スパイダーバース(2019)』のプロウラー
ピーターの親友ネッド
原作でのネッドは映画の彼とは似ても似つかない容姿をしたでイリービューグルの記者で後にホブゴブリンというヴィランになってしまう。
本作のネッドはどちらかというとアルティメットスパイダーマンのマイルズ・モラレスの親友ガンケに見た目も性格もレゴが好きなところもそっくりだ。
もし映画のネッドがコミックのネッドとガンケの設定をミックスしたキャラになるとしたらもしかすると今後の作品でヴィランのホブゴブリンになってしまうのかもしれない。
本作のネッド
原作のネッド(ホブ・ゴブリン)
原作のガンケ
今後のシルク登場の伏線か
ピーターの所属している学力コンテストクラブの部員にシンディというアジア系の女の子がいる。彼女は原作コミックでピーターと同じ蜘蛛に噛まれた蜘蛛女のシルクことシンディ・ムーンではないかと言われている。もしかしたらすでに蜘蛛に噛まれていて今後の作品でシルクになるのかもしれない。
本作より
原作のシルク
ナンバープレートの数字"SM2-0563"
スパイダーマンの後ろにある車のナンバープレートに書かれている数列に注目してもらいたい。
ここに書かれている"SM2-0563"とは"SM2"="Spider-Man #2(スパイダーマンの2巻)" "0563"="5 1963(1963年の5月)" と読み取ることができ、1963年 5月に発売された"Spider-Man #2"とはマイケルキートンの演じるヴィラン、ヴァルチャーが初めて登場したエピソードである。
本作より
"Spider-Man #2 (1963)"
2人のヴェノム、ガーガンとフラッシュ
ヴァルチャーがフェリーで取引をしていた男の名前はマック・ガーガン。彼は原作ではジェイ・ジョナ・ジェイムソンの命令でスパイダーマンを倒すため特殊な処置を施しサソリの力を得たスコーピオンというヴィランで映画でも彼の首にサソリのタトゥーが彫られている。
また、原作のマック・ガーガンはその後シンビオートの宿主になり三代目のヴェノムだったこともある。
本作より
首にサソリのタトゥー
原作のスコーピオン
原作のガーガンヴェノム
また、これまでの作品ではジョックだったが、本作ではピーターと同じ学力コンテストクラブの部員であるフラッシュ・トンプソンも原作ではシンビオートの宿主になりエージェント・ヴェノムとしてヒーロー活動をしてキャラクターである。
本作のフラッシュ
『スパイダーマン(2002)』のフラッシュ・トンプソン
『アメイジング・スパイダーマン(2012)』のフラッシュ・トンプソン
原作のエージェントヴェノム
フェリスはある朝突然に
スパイダーマンが住宅街でヴァルチャーのトラックを追いかけるシーンは映画『フェリスはある朝突然に(1986)』のワンシーンのオマージュである。
ちなみに、『デッドプール(2015)』のポストクレジットシーンでも『フェリスはある朝突然に』がパロディーされていた。
本作より
『デッドプール(2015)』より
『フェリスはある朝突然に(1986)』より
ショッカー
『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー(2016)』に登場したクロスボーンズのガントレットをチタウリやダークエルフ、ウルトロンなどの技術を加え強化したものを装備したヴィラン。
映画前半はジャクソン・ブライスだったが色々あってハーマン・シュルツが代わりを務めることになった。
本作のジャクソン・ブライス
本作のハーマン・シュルツ
原作のショッカー
ちなみに、こんないかしたスーツまで作られたのに結局映画では使われなかった。ハーマンがまだ生きてるので次登場する時は着ててほしいところ。
ちなみに、ショッカーはゲームの『The Amazing spider-man2 (2014)』や『Marvel's Spider-Man(2018)』にも登場する。
『The Amazing spider-man2 (2014)』より
『Marvel's Spider-Man(2018)』より
ティンカラー
ヴァルチャーの部下でメカニックのティンカラーは原作にも登場するマッドサイエンティストで映画の中で彼が作ったグラヴィティガンの形状は原作のものに非常によく似ている。
本作のティンカラー
本作のグラヴィティガン
原作のティンカラー
キャップの新型シールドとソーの魔法のベルト
ハッピーがアベンジャーズタワーを飛び立つ貨物機に積み込んだ荷物にハルクバスター、キャプテンアメリカの新型シールドの試作品、ソーの魔法のベルト、というものがあると言っていた。
キャプテンアメリカの新型の盾とは『エージェント・オブ・シールド シーズン4』に出てきたコールソンのエナジーシールドの改良版でコミックのキャプテンアメリカが一時期使っていた物だと予測できる。
『エージェント・オブ・シールド シーズン4』より
原作のエナジー・シールド
ソーの魔法のベルトとはメギンギョルドと呼ばれるもので、原作では身につけることでソーのパワーが大幅に増大するアイテムである。
原作より
また『アイアンマン(2008)』から登場しているポンコツアームロボットのDum-E(ダミー)が荷物を整理する手伝いをしていることが分かる。彼は『アイアンマン3 (2013)』でトニーの別荘ごと海に落下したが映画の最後でトニーに無事回収されて今回はれて復活となった。
本作より
『アイアンマン3 (2013)』より
The Amazing Spider-Man #33からの引用
ヴァルチャーの崩した瓦礫の下敷きになってしまい絶望したスパイダーマンが最後の力を振り絞って瓦礫を持ち上げるシーンは原作の"The Amazing Spider-Man #33"の有名なシーンからの引用である。
また、このシーンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)』でもオマージュされていた。
原作より
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)』
コニーアイランドのサイクロン
バルチャーが連行されるのをスパイダーマンが座って眺めていたのはニューヨークのコニーアイランドで1927年から今も現役で運行している木製のジェットコースター「サイクロン」である。
「サイクロン」は『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー(2011)』でスティーブとバッキーが子供のころ一緒に乗ったという話をしている。
本作のサイクロン
実際のサイクロン
ミシェルがまさかの…
映画終盤、ミシェルが自分は友達にMJと呼ばれている、とピーターに明かした。
MJとはもちろんスパイダーマンことピーター・パーカーの彼女である。
本作のミシェル(MJ)
虎の着ぐるみを着た生徒が廊下を横切るシーンが何度かあったが、あれは原作でMJがピーターのことをタイガーと呼んでいることに関係していると考えられる。
本作より
原作のMJ
新型スパイダースーツと正しい選択
トニーがピーターのために開発した新型のスーツは原作の『シビルウォー』でトニーが開発したアイアンスパイダースーツと現在連載中のスパイダーマンが来ているスーツを掛け合わせたようなデザインだった。
この新型のスーツは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)』にて着ることとなる。
本作より
原作のアイアンスパイダースーツ
原作より
トニーはピーターに新しいスーツを与え会見で彼の正体を世間に公表するつもりでしたがピーターはそれを断った。
コミック『シビルウォー』ではピーターが世間に正体を明かしたことがきっかけで彼を狙った殺し屋にメイおばさんが誤って射殺されてしまう(邦訳版も出ている『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』より)。よって今作のピーターの選択は正しかったと言えるのだ。
『スパイダーマン:バック・イン・ブラック』より
ちなみに、この時ピーターが着ているTシャツは『アイアンマン3 (2013)』でペッパーが着ていたのと全く同じ柄である。
本作より
『アイアンマン3 (2013)』より
時系列の矛盾について
『スパイダーマン/ホームカミング(2017)』は『シビルウォー/キャプテンアメリカ(2015)』の6ヶ月後で2016年の出来事である。しかし、冒頭の『アベンジャーズ(2012)』のNY決戦直後と思われる場面から現在に移り変わるシーンで「8年後」という字幕が出ることから2012年の8年後は2020年となるので矛盾が生じる。
しかし、映画の公開日が2012年のため映画内の時間も2012年と思われがちな『アベンジャーズ』だが、実際は細かい年数などは明言されておらず、後付けで『アベンジャーズ』は2008年の出来事という設定に変更されたと考えることもできる。
海外では『ドクター・ストレンジ(2017)』でストレンジがタイムストーンを用い、何度も時間を巻き戻したことが原因で時空に歪みが生じ、時系列にズレが生まれた。という説が提唱されているらしいが、実際のところどうなのかは定かではない。
また『アベンジャーズ』が2008年の出来事となると、同じ1週間の間で起きたとされる『アイアンマン2 (2010)』でアイアンマンのマスクをつけてスタークエキスポに参加していた少年がピーター・パーカーであるという説にも信憑性が増すという副産物もある。
ピーターは高校2年生で17歳、8年前は9歳。9歳にしてはちょっと小さすぎる気もするが12歳って言われるよりは信憑生がある。
『アイアンマン2 (2010)』より
ちなみに、ハッピーの車で空港に向かうシーンで窓の外にスタークエキスポ開催地の地球儀がチラッと映っているのも意味ありげである。
ハワード・スターク、アースキン、ブルース・バナー
ピーターの通う学校の壁にはリンカーンやアインシュタインの他にトニー・スタークの父であるハワード・スタークや『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)』に登場したアースキン博士の顔も描かれている。
本作より
『アイアンマン2 (2010)』のハワード・スターク
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)』
また、理科室の壁にはブルース・バナーの写真も飾られている。
本作より
エンドロール後
1本目の映像は刑務所内でトゥームスとガーガンが再開するというシーン。
2本目の映像はクリフハンガーではなくてキャップが「忍耐力は大切」ということを説教してくれる映像だ。これはクリフハンガーを期待してバカみたいにエンドロールを我慢して観てる観客に対する嫌味とも撮ることができる。この肩透かしを食らう感じは『デッドプール(2015)』のエンドロール後の「まだいたの?」に近いものを感じた。
本作より
次回予告
次回紹介するのは
『マイティ・ソー バトルロイヤル(2017)』
次回もお楽しみに。