映画『クローバーフィールド・パラドックス』レビュー イースターエッグ 小ネタ解説 ネタバレあり
『クローバーフィールド・パラドックス(2018)』
2018年2月4日(現地時間)、アメリカ合衆国のプロアメリカンフットボール決勝戦、世界最大級の大会スーパーボウルの試合の合間に流れた1本のCMが全世界の映画ファンを驚かせることとなる。
そのCMがこれだ。
そう、全世界の映画ファンが、俺たちが待ちに待ったクローバーフィールドシリーズの最新作の予告だ!クローバーフィールドシリーズの第三弾が『ゴッドパーティクル』というプロジェクト名で製作が進んでいたことは知っていたが、改題されてまさかこのタイミングで来るとは!しかもこの映像が公開されたスーパーボウルの試合終了直後即Netflix限定で全世界同時配信開始という二重のサプライズ!Netflixには入っていて良かったとこれほど強く思ったのは初めてだ!
一作目『クローバーフィールド/HAKAISHA』の時もそうだったが、本作の配信開始まで情報をほとんど漏洩させなかったバッドロボットの秘密管理の徹底さには驚かされる。
ということで、早速興奮して震える手を押さえながら鑑賞したのだが、一言…
JJ、あんた最高だよ!
本作はクローバーフィールドシリーズの一作という事を差し引いたとしても1本のSFスリラー映画として完成されている。
『ライフ』や『ジオストーム』のパクリだと言っている輩もいたが、ちゃんと観てそれを言っているのか?ルックスこそ他の宇宙を舞台にしたSF作品に似ているかもしれないが(ガジェットや宇宙服もよく見ればオリジナリティがあって素晴らしいと自分は思う)脚本に限っては他とは全く違うだろ!特に乗員の死に方が一人一人バリエーションに富んでいて素晴らしかったよ。
個人的にはミーナがもともといた次元の話も観てみたくなった。ミーナ以外の乗員はあっちの次元でも死んでしまったのだろうか。
あと最後の"アレ"はクローバーフィールド好きなら絶対ニヤッとしちゃうよね。
本作を観て「我々がクローバーフィールドに求めているのはこんなのじゃない。怪獣を出せ。POVでやれ。」とキレている輩がいるが、JJは前作の時点でクローバーフィールドシリーズは毎回違う方向性のスリラー作品にすると発表しているので、そういう映画が観たい人は諦めてレジェンダリーのモンスター・バースに期待しててほしい。
これよりイースターエッグの解説のためネタバレあり。
鑑賞後に読む事をオススメします。
・クローバーフィールドシリーズではおなじみの隠しサイト
本作は前作、前々作同様、作品中やインターネット上のウェブサイトに謎が隠されているようだ。2008年の一作目の公開時から存在する架空の企業タグルアト社の隠されたホームページが1月18日頃から何度か更新されていたらしい。
どうやらホームページの背景画像の彩度を調節すると文章が浮かび上がるとのこと。
浮かび上がった文章は以下の通り。
"Tokyo – January 18 2018 Tagruato has begun development on a revolutionary new energy technology In what Ceo Ganu Yoshida called a technological great leap foreward for our planet This renewable technology will take at least 4 year to complete with along with another six years International regulatory bodies to bring the powerful revolutionary energy source by april 18 2028"
要約すると「タグルアトは2018年1月18日から革新的な新しい再生可能エネルギーの研究に着手し、2028の4月18日に10年の歳月をかけついに完成させた。」みたいな感じだろうか。
タグルアト社のホームページ→ http://tagruato.jp
・映画開始直後、ラジオの音声が流れるシーンで音が乱れ一瞬Slusho!のCM音声が流れる。
Slusho!のCM
・エヴァが夫と車で話している時『スーパー8』や前作『10クローバーフィールド・レーン』にも登場した"KELVIN"という名前のガソリンスタンドが映っている。
本作
『スーパー8』
『10クローバーフィールド・レーン』
ちなみにこのケルビンという名前はJJ・エイブラムスの祖父の名前から取られていて、JJの作品には色々な形で度々登場している。
一例
・本作においての"クローバーフィールド"とは宇宙ステーションの名前である事が分かる。一作目では国防総省の保管する事件映像記録の総称。二作目ではハワードの自宅のある場所の地名。だが実際のところはバッドロボットプロダクションのオフィスのある行政区画名である。
・宇宙ステーションクローバーフィールドで行われている粒子加速実験をニュースで批判している学者、マーク・スタンブラーのアカウント@Paradox_Is_Realは実際にTwitter上に存在しているが、何も呟かれていない。
また、この人物『10クローバーフィールド・レーン』に登場したハワード・スタンブラーと同姓であることから兄弟という事が予想できる。確かに太っていて髭を蓄えている見た目もそっくりだ。
ちなみに、このハワードが勤務しているのはタグルアト社の傘下にあるBold Futuraという宇宙開発を専門とする会社であり本作の宇宙ステーションと何かしら繋がりがあると考えられる。
また、マンディの作業していたメンテナンス室の壁に"TAGRUATO"の文字があることからもこの説は有力だろう。
・クローバーフィールド内のデスクにSlusho!のボブルヘッドフィギュアが置かれている。
そして、なんとSlusho! Truckというフードトラックが全米を巡回し謎を解き明かしたファンに実際にこのボブルヘッドがプレゼントされた模様。めっちゃ羨ましい…
プレゼントを受け取ったファンのサイト↓
I GOT THE SLUSHO BOBBLE HEAD FROM THE SLUSHO TRUCK PUZZLE
・ボルコフが"We're definitely not in Kentucky anymore"というセリフがあるがこれは"We're not in Kansas anymore"という『オズの魔法使い』の主人公ドロシーのセリフからの引用で洋画などでよく使われる有名な言い回しである。
・NYに現れた怪獣やハワードのシェルターの地上に現れたエイリアンは本作で発生した時空の歪みから現れたと予想できる。
しかし本作は2026年6月4日から2028年4月28日までの694日間の出来事と予測されているので、2008年の過去に怪獣を出現させたとなると矛盾するのでは?と思うかもしれない。しかし、粒子加速実験でパラレルワールド同士が繋がってしまったり、宇宙ステーションを太陽の裏側まで一瞬で移動させた、という事は次元や空間を超えるほどの影響力があるという事。つまり過去や未来に影響を与えてもおかしくないのだ。(この事に関してはマーク・スタンブラーが序盤のインタビューで話している)
本作は『ゴッドパーティクル』というプロジェクト名で製作されていた頃からクローバーフィールドシリーズの前日譚ではないかと囁かれてきた。しかし、未来の話となると前日譚ではないのではと思う人も少なくないはず。だがよくよく考えて欲しい、本作の出来事がなければNYに怪獣は現れず、ハワードのシェルターの地上にエイリアンや巨大なUFOは現れなかったと考えると本作がクローバーフィールドの発端。前日譚ということで間違いないだろう。
クローバーフィールドシリーズの年表を作ってみました。間違っている点や、これ抜けてるよ〜ってとこあったらコメントかツイッターで教えてください。
(タイトルは文字数の関係でCF(クローバーフィールド)とナンバリングにしています。)
ちなみに本作のラストに出てきたアイツは一作目に出てきたアイツがNY沖の大西洋で20年ぐらいかけてすくすく育ってああなったと想定しています。てかそうであってほしい。
クローバーフィールド三作とオマケでスーパー8の位置関係の地図も作りました。(拡大するとより見やすくなります)
こう見るとラストのアイツがいた場所はNY沖からたいして離れていないようなので。さっきの説の信憑性がさらに高まりますね。
最後に
クローバーフィールドシリーズ第四弾『オーバーロード(原題)』は本作『パラドックス』とほぼ同時進行で撮影されており、既に撮影は完了しているとのこと。内容は第二次世界大戦が舞台になるといい、監督はジュリアス・エイブリー。ただオーバーロードというタイトルはあくまで仮題であり、本作パラドックスが元々ゴッドパーティクルというプロジェクト名で製作されていたことを踏まえると恐らく改題される事は確実だろう。
それにしてもゴッドパーティクル改めクローバーフィールド・パラドックスは元々4月20に公開される予定だった事を考えると第四弾がいつ公開されてもおかしくないという事。心して待とう。
結論、JJいっぱいちゅき…。