狂気の凶器映画 大行進

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映画『狼の死刑宣告(2009)』ネタバレあり レビュー 感想「地震、雷、火事、ベーコン」

地震、雷、火事、ベーコン

 

今回紹介する映画はケヴィン・ベーコン主演のクライムアクション

 

狼の死刑宣告(2009)』

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監督

ジェームズ・ワン

役名/キャスト

ニック・ヒューム/ケヴィン・ベーコン

ルーカス・ヒューム/ジョーダン・ギャレット

ブレンダン・ヒューム/スチュアート・ラファティ

ヘレン・ヒューム/ケリー・プレンストン

ボーンズ・ダーリー/ジョン・グッドマン

ビリー・ダーリー/ギャレット・ヘドランド

ジョー・ダーリー/マット・オリアリー

 

あらすじ

 妻と二人の息子と幸せな生活を送るごく普通のサラリーマンニック・ヒューム、長男ブレンダンのアイスホッケーの大会の帰り道で立ち寄ったガソリンスタンドで運悪くギャングに襲撃され息子を殺されてしまう。

 息子を殺した犯人はすぐに逮捕され裁判が行われることになるが、息子が殺されたのはギャングの”度胸試し”のためだったと知り、怒りに任せ自らの手で犯人を殺したことでギャングの恨みを買ってしまい、戦いの渦に巻き込まれていく。

 

注意:これよりネタバレを含みます

 

感想

効果的に挿入されるホームビデオ

 映画はニックと家族を映したホームビデオから始まります。これはズルい!これからこの家族に起こることを考えただけで涙腺決壊寸前ですよこんなのw またニックの家族関係なんかもこのシーンだけで大体把握できます。

 

等身大の一般男性だからこそ共感できる

 「地震、雷、火事、ベーコン」本作はそんな映画でした。しかし『イコライザー』や『ジョン・ウィック』のような「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした映画」ではありません。主人公のニックはごく普通のサラリーマンで人を殺したことなど一度もないのです。そんな等身大の一般男性だからこそ観客は彼の感情に痛いほど共感できるのではないかと思います。

 また『ブルーリベンジ』のドワイトよろしく殺しに手こずる感じはリアリティがあり。今まで銃なんて所持したことがないから説明書を読みながら銃をいじるシーンなんかも新鮮で最高でした。

 

ニックの外見的、内面的変化 ニックとビリーは似た者同士である

 ギャングを二人殺すまでニックにはためらいがありました。ただ、妻を殺され次男と自分が殺されかけたことでギャングを皆殺しにすることを強く決意します。

 ビリーに「その格好、俺たちと同じだ」と言われたように『タクシードライバー』よろしく頭を刈り上げ(微妙に剃り残しがあるところがリアルで好き)、長男が殺された時着ていたジャケットを羽織り、次男が小さい頃から身に着けていたバンダナを拳に巻き、車もビリーから盗んだ赤いマッスルカーに乗り換えていました。

 会社の部下に「あんな事があったら、僕ならまともじゃいられませんよ」と言われたシーンでは彼はもうすでに「まとも」ではなかったのでしょう。

 ケヴィン・ベーコンといえば有名になるきっかけになった作品が『フット・ルース』ではあるものの。その後のキャリアでは悪役を演じる事が多く、それもどの作品もハマり役でした。悪役の似合う、そんな彼だったからこそ「いつ悪に染まってもおかしくない危うさ」や「善と悪の境目が曖昧」なこのキャラクターを演じるのにピッタリだったのかもしれません。

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 また、ニックが息子の形見を身につけていたようにビリーも弟の赤いジャケットを身につけていました。

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 ところでビリーを演じているこの俳優、どこかで見たことあると思ったら『トロン:レガシー』で主人公のサム・フリンを演じていたギャレット・ヘドランドじゃないか!トロンの方が3年後の作品なのに格好のせいか本作の方が老けて見えますねw

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圧巻の立体駐車場シーン

 本作を観た人達が必ずと言っていいほど良かったと言うシーンは立体駐車場での逃走シーンでしょう。私も『オールドボーイ』や『バードマン』ですっかりワンカット長回しの虜になってしまったのでこのシーンでもテンションが爆上がりしました!

 街中でギャングに襲われたニックが立体駐車場に逃げ込み、駐車されている車に体当たりして防犯ブザーを鳴らしながら上の階へと登っていく。ニックを映していたカメラは駐車場の外に出て、遅れて到着したギャングを映す。ギャングが二手に分かれたところでカメラはもう一度駐車場の外へ出て、屋上のニックを映す。階段から登ってきたギャングが扉を開けたところでカットが変わる。この一連の映像がハッタリ無しのワンカット映像だと言うのだから驚きます。DVDに収録されているメイキング映像によると手持ちカメラを外で待機しているクレーンと中で待機している人がバケツリレーの要領で手渡しすることで撮影したようです。

 また、ニックと追手のギャングが車内でもみ合っていると車がゆるゆると動き出し、駐車場のフェンスを越え、ニックがギリギリのところで車から飛び降りたところで、ギャングを乗せたまま地面に落ちるシーンも今まで見たことのない新鮮なシチュエーションで、独特な緊張感があって良かったです。

 

凶器映画的注目ポイント

ニックの選ぶ銃

 ギャングへの復讐を誓ったニックはビリーの父親であるガンディーラーのボーンズ・ダーリー(ジョン・グッドマン)の元を訪れます。

 ここでニックはボーンズに勧められたデザートイーグルはあっさりスルーしコルト・パイソン357マグナム・リボルバー、コルトM1991ガバメント、2連装ショットガンを選びます。

 ここであえてリボルバーやショットガンを選んだのは本作の原作者ブライアン・ガーフィールドの『Death Wish』の映画化作品『狼よさらば』や『タクシードライバー』へのオマージュのようにも取れます。

 またショットガンをソードオフ(銃身を切り詰め立ち回りしやすくする加工法)なんかしちゃわないところも素人感があっていいですね!

 

NetflixAmazonプライムビデオなどで視聴可能なので未見の方は是非。

 

DVD