映画『ナイトクローラー(2015)』ネタバレあり 感想 考察「こいつ…とんでもねぇクズだ!」
『ナイトクローラー(2015)』
監督
キャスト
ジェイク・ジレンホール
アン・キューザック
ケヴィン・ラーム
キャスリーン・ヨーク
エリック・ランジ
キッフ・ヴァンデンヒューヴェル
ジョニー・コイン
マイケル・ハイアット
マイケル・パパジョン
あらすじ
ロサンゼルスの夜のハイエナ、報道カメラマンのルイス・ブルームがショッキングな映像を求めるあまり禁断の方法に手を出してしまう…。
ルイスの清々しいほどのクズっぷり
ルイスは登場シーンからいきなり器物損壊、不法侵入、警官に対する暴行、窃盗。と犯罪行為を連発。こいつマトモじゃない…感をまじまじと見せつけてくる。
その後も、彼は自分が業界で台頭するために犯人をみすみす逃したり、同業者や助手が息絶える瞬間なんかをカメラに収めるなど、どんどんと悪魔に魂を売っていく。
このルイスのクズさ、キモさを際立てているのは間違い無くジェイク・ジレンホールの爬虫類的で憎たらしい表情からくるものだろう。ジェイク・ジレンホールはこの役のために9キロの減量をしたらしい。
ジェイク・ジレンホール発狂伝説
今ではすっかりジェイク・ジレンホール十八番となった(なってしまった?)感情を爆発させる発狂演技を本作でも披露している。
ジェイク・ジレンホール発狂ギャラリー
『ナイトクローラー(2015)』
『サウスポー(2016)』
『ライフ(2017)』
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2017)』
悪魔の影
ルイスがスクープ映像を持ち込んだテレビ局はチャンネル"6"。映画の中で何度も悪魔の数字である"666"が印象的に映し出される。
どんどんと手段をエスカレートさせていくルイスが新しく乗り込みんだ車は、赤と黒という悪魔を連想させるようなカラーリングのダッジチャレンジャーSRTだ。
『マシニスト(2004)』では悪魔や死神のメタファーとして描かれていたアイヴァンが赤の1969年型ポンティアック・ファイアバードに乗っている。
スティーブン・キング原作の『クリスティーン(1983)』では悪魔の殺人ヴィンテージカー"クリスティーン"は赤の1958年型プリムス・フューリーだ。
『悪魔の追跡(1975)』のパッケージには赤のボディに悪魔の顔を現す逆五芒星(デビルスター)のエンブレム、ナンバープレートは悪魔の数字"666"という悪魔要素てんこ盛りのマッスルカーが描かれている。
(しかし、残念ながら映画本編にはこのような車は登場しない…)
どうやら悪魔といえば赤のマッスルカーというイメージがあるようだ。
『血を吸うカメラ』から続く系譜
この映画の本当に怖いところは、ショッキングなスクープ映像を心待ちにしているニュースの視聴者と我々観客が重なっていることに徐々に気がつき「お前らはショッキングな映像を求めてたんだろ?お前らのためにやってやってるんだからな」と知らず知らずの内に我々に責任が転嫁されてしまっている。というメタな入れ子構造になっていることだ。
取調室の監視カメラのレンズに視線を送るルイスのしたり顔は、まさに画面の反対側にいる我々をあざ笑っているかのようにも見える。
この責任転嫁の手法は『血を吸うカメラ(1960)』や『ダイアリー・オブ・ザ・デッド(2007)』などにも見られる系譜だ。
ニーナの言う「喉を切られる女性」とはまさに『血を吸うカメラ』の内容そのものだ。
『血を吸うカメラ』では主人公が柄にカメラを取り付けたナイフで女性の首を掻っ切り恐れおののく表情や断末魔を記録するというシーンがある。
まとめ
ここまでクズ突き通されちゃ逆に清々しいよね。